建築家の仕事は、建てて終わり、ではない。建物の弱点をしらみつぶしに補強し、新たに障壁もつけている。その工事記録を将来のために手間隙かけてまとめている。建築家は語る。「ひとつひとつの修後箇所を写真に撮り、プロセスをすべて記録しています。僕は、これを家のカルテ『家歴書』と呼んでいます。いくら面倒でも、リファインにとって家歴は必要です。どの現場でも、この作業をしています。カルテがあれば、何かの理由で、建物を直す際、ひと目でポイントがわかる。
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未来への伝言ですね」若い世代は、時代を超えて建物を生かそうとする建築家の意志をどう受けとめているのだろう。建築工房には八人の弟子がおり、東京、福岡、大分の拠点に分かれている。そのなかで最年長は三五歳。二〇代が多く、出身大学も国立、私立さまざまだ。医院を担当した神本豊秋は二八歳、師匠と同郷で大学も後輩に当たる。大学二年のとき、建築家の講演を聴いて「目からウロコか落ちた」という。『古い建物でも、補強してデザインすればもっとよくなる。うどんを懐石料理に変えるような考え方に衝撃を受けました。すぐインターンシップを申し込んで、事務所に飛び込みました。正式採用時、半年でモノにならなかったらダメだ、と言われました。仕事は厳しいです。泳げないのに海に突き落とされて、必死で泳ぎを覚えてる感じかな。打ち合わせ、施工図の描き方、配管検査など仕事の流れを一度教わったら、次からおまえ行け、です。もちろんミスがあっては大変なのでチェックは徹底的にやってくれますが、じぶんで考えなくては話になりません。建築家から耳にタコができるほど聞かされるセリフがあります」と言って、神本はひと呼吸おき、こう話を続けた。