土地をはじめとする生産要素の商品化には、普通の消費対象である物=生産物の商品化とは少し違ったひと工夫が必要になります。そもそも人間の労働=労働力の「商品化」にしても、賃労働上雇用契約という工夫によって初めて、一方には独立した人間でありながら一定の時間だけ雇用主の指示に従って働くという区切りがついているのです。土地については、国・公共による「都市計画」を前提にして、民間において「商品」として扱うことが正当化されます。つまり都市計画の法体系の枠組みのなかで、はじめて自由な不動産取引の経済活動が保証されるのです。一方で、一度決定された具体的な都市計画に関しては、任意の買収や権利変換に応じない者、土地利用の規制に違反する者に対して、公明正大な手続きに従った断固とした強制執行が必要不可欠です。ところがそこでも、しばしば「日本人の法意識」が顔を出すのです。また川島武宜は別の著書(『所有権法の理論』)のなかで、近代的な所有権の本質が、最終的にはその「商品価値」にいきつくことを述べています。土地・不動産市場に関して、民主主義の政治が市場経済の「失敗」を補おうとする時に、その正当性と効率性を保証するのは、市場価格=商品価値に基づく評価と介入です。「民主政治」と「市場経済」は、社会の不可欠な両輪なのです。「市場経済だから、街づくりができない」のではありません。「市場経済を信頼しないから、街づくりもできない」のです。
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