2006年に開催された東京都住宅政策審議会の企画部会において、次のような意見が出されました。「賃貸住宅では、若年ファミリー層が目指すような50平方メートル以上のものが不足している一方で、実際につくっても借り手がいないというのが実態であり矛盾」「東京では、空家率が18%もありながら、一方で近年さらに新しい賃貸住宅が増えていたり、留学生などが入る住宅が不足している」この一見矛盾しているような意見の中に、現在の日本の賃貸住宅の供給に関する問題点が潜んでいるように思います。日本、とくに首都圏の賃貸マンションの供給市場の構造には、次のような都市開発にもかかわる根深い問題が存在しています。(1)新しい民間賃貸マンションの建設(供給)は、ほとんどが需要者側のニーズに応えるものではなく、供給者側の事情(投資効率)によって行なわれている。(2)老朽化した古い賃貸住宅(木造アパートなど)の建て替えが行なわれずに、どんどん滞留している一方で、新しい賃貸マンションの供給は少なく、耐火・耐久性の高い都市づくりの妨げになっている。(1)の問題を具体的なケースで示すと、こうなります。30〜40歳代で家族のある方が、「今度、子供が生まれるので、今までの2DKでは手狭になってきた。3LDK以上の広い住宅に移りたい」と考えたとしましょう。そこで賃貸マンションを探すために不動産屋さんに行きました。ところが、掲載物件は数多くあるにもかかわらず、自分の目的にあった間取り・広さの物件はほとんどありません。賃貸では、ファミリー向けの適当な物件がなかなか見つからないのです。
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